スト6のビジュアル(戦闘画面)についてのおぼえがき
たぶん業界内部の人間から見ると当たり前なんだろうなと思うが、轍を踏んでいかないと話が始まらないぜ
【背景】
・センターライン、画面端がそれとなく明示されている(オブジェクトの境界、あるいはライティングなどにより)
・有効な地面が区別されている(どこがゲームシステム的に設置判定があるのかがわかる)
・片方の画面端まで行ったとき、何かしらのセンターオブジェクトが"隠れる"ようになっている気がする(中央のラインの少し横くらいのオブジェクト)
・とくに画面端に行ったときの背景が「一つの絵」になるような背景になってる。右端、中央、左端がそれぞれ一枚絵で、それが40~45%ずつくらい隣と重なりながらなめらかに接合しているような印象
・とくに遊園地の背景を作ったやつは明らかに構造のオタクだとしか思えない。有効な接地面と壁だけライティングが違う。体力バーが青色の右側に同じく青色のコースターを設置し、赤色の左側には赤色のLEDがある。キャラクターのShadingが気にならない程度に不自然に浮いている。端までいくと中央の通りの奥が見えなくなる。高く飛んではじめて三角形の旗がよく目について"高い"ことがわかる。プレイヤーの頭より少し高いラインに一本の横線が引ける。
【UI・エフェクト】
・UIにはほとんど意図的に"速度"がない。なめらかな変化をしない。例えばHPバーが揺れるみたいなこともない。その増減は1Fで行われる。
・端の「COUNTER」などの表示は現れるときは気持ちよくあらわれるし、消えるときは意識を刺激しないように消える。
・エフェクトはかなり"ザクッ"とすぐに消える。エフェクトの発生回数が多い分、それが後続に残って混ざらないようになっている。
・周辺を一瞬だけ歪ませるエフェクトがかなり気分いい。よく見てるとわかるが、画面全体が一瞬(2Fとか)ぶわっと動いたり、有効地面よりもっと下のごくわずかな部分にエフェクトを出したりして効力感を出している。
・下にも書く速度の話がここにもある。速度の高いエフェクトは一瞬で消えて、わずかに持続するのは速度の低いエフェクト。
・画面全体を動かすのかなりいい。好きだ。
【キャラクター】
・明らかに影が"不自然"(それによって背景から遊離している。これは意図的な"Linearity"だと思う(記事『非線形空間のほうがエロいだろ』参照)。あえて背景から遊離させている)
・同じく摩擦も不自然。なめらかに動いていて気持ち悪いがそのおかげで浮いている。
・手と足の位置が常に分かりやすい。手首や足首に装飾をつけているキャラクターが多いのは偶然ではないと思う。それにキャラクターの手/腕は不自然に大きくしてある。
・キャラクターの動きと背景の動きは、速度帯にgapが作られている。(操作キャラクターのあらゆる動きは必ず一定以上の速度で、背景はほぼ必ず一定以下の速度で動く)
・キャラクターが被ったとき、UIの方が後ろになる
これをやるにはゲームシステム、ゲームデザイン、UIデザイン、キャラクターデザイン、モデル、モーションの人間のあいだで交流というか話し合いがなきゃいけないわけで…………。いかに開発チームのビジョンの共有とかコミュニケーションが重要なのかってことが伝わってくる。
就職において「コミュニケーション能力」が最も重要だとされるのはつまりこういうことで、それを技術力で押し通そうとするのならすべての末端に対し精通している必要がある。そしてたくさんのことに精通している人間は滅多にいない。とくに技術力で押し通そうとする人間にはね。
おれだってこのゲーム作るならコミュニケーション能力を最重要視すると思う。
あーあ、就職ねえ……